【アバック横浜】スマートプロジェクターへの入れ替え。特に機材更新の場合に生じる「パラドックス」的な注意点についてお伝えします。
アバック横浜 渡邉です。
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2025.11.8追加:Googleのカスタム検索に対応しました。気になったキーワードやシステムのチャンネル数、スクリーンサイズなどを入れてみてください。
本題です。
今日は、最近お問い合わせの多いスマートプロジェクターの運用についてちょっと注意点が出てきましたので、簡単に書かせて頂きます。

昨今プロジェクターの主流になりつつあるスマートプロジェクターは、投射距離や設置方法が今までの「映写機」の延長線上だった既存のプロジェクターとはだいぶ変わって来ます。
また、搭載されている機能は便利なものが多いのですが、事ホームシアターのシステムに組み込もうとすると少し問題も出てきます。
この辺りの状況と解説、そして解消方法について書いてゆきたいと思います。
昨今のスマートプロジェクターについて

AWOLやXGIMI、JMGOなどのメーカーの機材はジンバルによる柔軟な投射システム、一部の機種はレンズシフトやズームも持ち、内部ソフトはGoogle TVで、所謂配信系のシステムを内包している事が特徴かと思います。
そして発売当初の使用方法として想定されていたのはテーブルの上に置いて斜め上を向けるような形で壁やスクリーンに投射する、と言う物でした。
音は本体内蔵のスピーカーでその場から出しつつ、比較的小さな環境でもシアターを楽しむ事が出来る、そんな想定です。
では、実際の所どうなのか。


実際にお客様とお話してゆく中で、ここの所スマートプロジェクターに関しては少々状況が変わって来たな、そんなことを思っています。
色々な機種が発売され、性能的な面では所謂4K対応・HDR対応などもなされてきており、画質についても少し前に発売された機種と肩を並べるレベルまで来ております。
そうなると当初予想された使い方だけでなく「既存のプロジェクターの代替え、ないしそれ以上の性能を求めたシアターシステムの中核」でご用意されるお客様が増えたと思います。

天吊り自体は問題はありません。
以前のブログでも書きましたが専用の天吊り金具に交換する事や投射距離が変わる可能性を念頭に置いておいた上で、ACアダプタの収まりなどを考えながら設置すれば何とかなります。
物理的には何とかなるんです(問題がないわけではありません。ご相談下さい)
一番の問題は別にあります。
それはスマートプロジェクターのもう一つの特徴「GoogleTV」です。

特に「プロジェクターにGoogleTVが入っているから、配信システムのソースはこれで賄おう」と、お考えになる点。
今回お伝えしたいのはこの部分です。
……実は、そう簡単にはいかない現状が待っています。
実際にシステムとして運用する場合の中で、一番の問題になっている点、それは「音声」です。

スマートプロジェクターの場合、映像ソースも音声ソースもGoogleTVの中で内製出来ます。
この中で画についてはそのままプロジェクターの中で消費しますので問題はありません。
問題は「プロジェクターからアンプ等に至る音が必ずしもうまく行かない事が多々ある」と言う点です。
うまく行かない理由は意外に簡単で、この辺りちょっとした「パラドックス」になります。
ホームシアターのコンテンツ、特に配信系のコンテンツやゲームコンテンツは当然のことながら映像と音声の2つで構成されています。

一般的なシアターシステムでは天吊りの場合、これらの映像ソースは外部からの供給となっておりますので、映像ソースはAVアンプなどを通り、音声はアンプ側で処理、映像はアンプ経由でプロジェクター側で処理という方法を取ります。
基本的にAVアンプに接続して映像と音声を賄っていますので、音声はアンプから出力、そして画についてはハイビジョンまでは普通の長尺HDMIケーブル、4K以降は光HDMIケーブルとなり、長尺でも問題のない映像を送る事が出来るようになっています。
ところが……。

スマートプロジェクターの場合、画については4K・HDRも含め表示は直結されていますので、むしろ既存のプロジェクターより劣化なども考えなくても良い事になりますが、音声については何らかの方法で外に出し、アンプに繋がなくてはなりません。
この場合、普通に考えればHDMI ARC/eARCを使ってアンプに、と言う事になります。
特にプロジェクターを天吊りした場合、HDMIの長さがとても長くなるため、特に4Kでは光HDMIケーブルなどを用いて対応する事になっているわけです。
ところがスマートプロジェクターを中心に据えるとこれが逆になります。
先程お話した通り、映像は問題ありません。
問題になるのは「音声」です。
今度は音声を長尺ケーブルを使ってアンプに接続する事になります。
これが意外にうまく行きません。
「でもさ、光HDMIであればスピードは十分で問題はないはずだよね」
と思われる方も多い思うのですが、実は現在の光HDMIケーブルは構造的に「スピード不足」になるケースも多く出ています。
ここでARCとeARCの使用について簡単に触れて置きます。
ARC (Audio Return Channel)

使用する線:HDMIの「Utilityライン(14番ピン)」を主に使用します。
帯域幅:最大約1Mbps(圧縮5.1chや2chステレオ程度)
通信方式:テレビや各種ソースから一方向のシンプルな音声伝送
HDMI1.4の規格で14番ピンは「HDMI Ethernet(HEC:LAN通信機能)」の伝送に割り当てられることになっています。
そしてARCはHDMIの規格上、1本の線を「LAN」と「ARC」で共有する形になっています。
先程のLAN通信機能と現在ARCと呼ばれるオーディオリターンチャンネル(ARC:音声伝送機能)を統合した仕組みを「HEAC」と呼びます。
HDMI1.4ではこのHEAC機能のために、それまで結線する予定がなかった14番ピン(Utilityライン)が正式に割り当てられました。
そしてARCの規格がeARC(Enhanced)になると「LANの仕組みそのもの」になる通常のARC(シングルモード)の14番ピンを使い、音声信号(IEC 60958規格という光デジタル音声に近いデジタル信号)を流します。この時点では音声信号は「LANのデータとして流れている」わけではありませんが、線自体はLAN用の回路と繋がっています。
eARC (Enhanced Audio Return Channel)

使用する線:HDMIイーサネットチャンネル(HEC)用の「Utilityライン(14番ピン)とHPDライン(19番ピン)のペア」で運用。
帯域幅:最大約37Mbps(ロスレスのDolby Atmosや大容量7.1chが可能)
通信方式:機器間で高速にデータ(認証 handshake や Lip-Sync 情報など)を往復させる「双方向の差動データ通信」システム。
eARC(Enhanced)になると「LANの仕組みそのもの」になる通常のARC(シングルモード)の14番ピンを使い、音声信号(IEC 60958規格という光デジタル音声に近いデジタル信号)を流します。
この時点では音声信号は「LANのデータとして流れている」わけではありませんが、線自体はLAN用の回路と繋がっています。
更にeARCの(コモンモード)では:14番ピン(Utility)と19番ピン(Hot Plug Detect)の2本をペアとして使います。
この2本の組み合わせは、まさに「HDMIでLAN通信(HEC)」を行うための差動信号ラインそのものであり、eARCでは、このLAN通信用の電気回路をそのまま流用して、ARCの実に37倍の高速な音声データや機器間の認証データを双方向で行き来させる事になります。
両方の仕様はこんなところです。
eARCはARCの拡張と言う位置づけですが、実際の所、仕様がだいぶ違います。
このスピードと双方向性が今回の問題の原因になります。
(余談ですが13番ピンはHDMIコントロール(CEC)用です)
ここで今のHDMIケーブルの使用の問題が出て来るのですが、実は今の光HDMIケーブルのほとんどは純粋な光HDMI方式ではなく「ハイブリット式」になっています。
ハイブリッド方式の場合、HDMI2.0(TDMS)の場合と2.1(FRL)で信号の流し方は違いますが、映像信号の伝送に採用するのは1から12番ピン(3×4の考え方です)になります。
ところが、ARCに割り当てられた14番とeARCで付け足された19番は光伝送から分離しています。なんででしょう?
実はハイブリッド方式の場合、HDMIの信号自体は光変換をして飛ばしますが、ARCやeARCのラインには先程の分離できる点もあり、メタルラインを採用しているケースがほとんどです。
つまり、HDMIの14番ピンと19番ピンに流れる信号は、「HDMIケーブルの中に未シールドの細い銅線を紛れ込ませて、10メートル以上這わせている様な状態と言う事になります。
当然、長くなればなるほど途中でノイズを拾い、テレビとアンプの間のLAN通信(eARCのハンドシェイク)がエラーを起こして切断されてしまう事が起こるわけです。
じゃあ、これってテレビとアンプを繋いでも同じことになるのですか?
その通りです。テレビと各機材は距離が短いので問題が出ずらくなります。
これらの事からスマートプロジェクターから音だけAVアンプに繋いだ場合「画は出るけど音が出ない」と言う状態になるケースが出てきます。
じゃあなんでこんな仕様になるのか、と言う点ですが、理由としては主に光HDMIのコストダウンとARC自体が低速でなので、という前提の為で制作されているためです。
(逆に言えば高価な光HDMIケーブルではすべてのラインを光に変換しているケースもありますが、扱いはそれなりに難しくなります)
映像ソースの問題の為に光HDMI長尺ケーブルを使うと綺麗に絵が出ますが、映像をプロジェクター側で賄うと今度は音声伝送の為に長尺ケーブルが問題になり、しかも光HDMIケーブルが理由でうまく行かなくなる。
これが矛盾(パラドックス)となります。
ここまで書くと回避方法はどうすればいいのですかと言うお話になりますが、現時点で確実な方法と言えるのは「映像ソースをアンプ側に取り付ける」つまりスマートプロジェクターの内部になるGoogleTVは使用せず、アンプに近い外部に配信ソースを求める方法です。

私個人としてはスマートプロジェクターであってもAVアンプ側に映像ソース(FireStickやAPPLE TV4K、GoogleTV STICKなど)を用意する事をお勧めします。
ネガティブな面はスマートプロジェクターのGooleTVの「配信ソース機能」が使えなくなるという点のみになりますので、システム的な柔軟性はかなり増しますのでお勧めです。
(ケーブルをメタルの物に替えるという方法もありますが、4Kに対応できなくなりますので本末転倒です)


後はどうしても天吊り・且つスマートプロジェクター側の映像配信システムを使用しなければならない場合と言う条件のケースや、最近増えてきたピュアオーディオやアクティブスピーカーのHDMI ARCを使いたいというケースになりますが、ケースバイケースで方法がないわけではありませんので、別途ご相談ください。
最後に、この辺りの問題を加味した上での天吊りでプロジェクターを運用されている方へのアドバイスになります。


ここ最近の状況を加味すると、天吊りと言うシステムを維持したい場合は別として、特にスマートプロジェクターに変更する場合は、もう無理に天吊りに拘らなくても良いかもしれません。
スタンドを使ったシステムであっても映像の投射は維持できますし、スクリーンをサイドテンションの物に交換すれば超短焦点も不可能ではありません。
参考:【横浜店】実機確認推奨!「超単焦点プロジェクターはロールスクリーンで使えないのか?」というご疑問に回答させて頂きます。
https://corp.avac.co.jp/shopblog/archives/yokohama/20230226
しかも、ほとんどのケースで画質は4Kクラスに上がるわけで、どういう形にするにせよ、明るさや解像度は元の映像からは格段良くなります。
何より天井裏を通り抜ける長尺のHDMIケーブルを無理に使用する必要もなく(露出はしますが)、内部のGoogleTVを使用した映像と音声のパラドックスになる事もありません。
また、すでに稀なケースになりつつありますが、過去にBNCなどを通線したシステムの場合、下見の結果、BNCケーブルがキッチリ入っている事から、HDMIへの入れ替えが出来ないと判断されるケースもあります。
この辺りは導入の前に店舗との相談の上、柔軟に考えて頂く事をお勧めします。
ともあれ、機材の入れ替えやスマートプロジェクターによるシステムをお考えの場合、初めてであっても、既存のシステムを入れ替える場合であっても、いきなり通販で購入するのではなく、シアター専門店への相談は良い結果になると思います。
可能な範囲でご邸宅の図面や断面図、既存の場合はシステムの写真などご用意の上、ご来訪下さい。
では、アバック横浜まで、まずはご予約・ご相談をお待ちしております。
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